(山本)
FlorianによるMIXERアプリが完成しまして、ありがたいことにたくさんの反響をいただいております。
今回、MIXERアプリを開発するにあたり、改めて各製品の性能を検証し、それぞれの特性や役割について整理し直しましたのですが、その過程で、これまであまり詳しく説明してこなかった製品の向き不向きや、具体的な使い方についても、ひとつの資料としてまとめてみようということになりました。
それが今回公開した「CHALK GUIDE」です。
実は、私たちはこれまで各製品に適した環境や具体的な使い方について、あまり具体的に説明してきませんでした。
というのも、チョークは個人差が非常に大きいものだからです。
私たちが考える製品の特性や向き不向きも、結局のところ、私たち自身の経験や好みを出発点としたものです。もちろん、開発の過程では様々な検証を重ねていますが、それがすべてのクライマーに当てはまるとは限りません。
同じ岩、同じコンディションであっても、ある人にとって最高のチョークが、別の人にとってはまったく合わないこともあります。
だからこそ、製作者側があまり具体的な正解を示すよりも、それぞれのクライマーが自分で試し、自分に合った使い方を探究してくれる方がいい。そんなふうに考えていたわけです。
しかし最近では特に海外のユーザー様から、製品に対してもう少し具体的な説明や、使い方の指標を求める人が増えてきたようにも感じてきました。
また、これまで協力していただいたテスターの方々の意見や、調合イベントで実際にクライマーと接してきた経験から、私たちが想定していた製品の特性と、多くの方の使用感には、ある程度共通した傾向があることもわかってきました。
それなら、私たちが考える製品の特性や使い方を、ひとつの指標として公開してもいいのではないか。ということで。
もちろん、それが合わない人もいるでしょうし、自分なりの使い方を突き詰めていく人もいると思います。それはそれで、とてもいいことです。
正解を知りたい人にとっては、製品選びの手がかりに。そして、自分で探究したい人にとっては、新しい発見や実験のきっかけに。
どちらのクライマーにとっても、有意義な情報になったら嬉しいなと。
製品の特性を整理してみる
TOKYO POWDERのチョークは、BLACKやPUREなどのベースとなる製品を軸に、大きく2つの系統に分けて考えることができます。
ひとつは、乾燥した環境や比較的一定に保たれたコンディションで性能を発揮しやすいRX系統。もうひとつは、湿度が高く、環境の変化による影響を受けやすいコンディションに強いV3系統です。
もちろん、実際のクライミングでは、岩質や湿度だけでなく、個人の手の状態によっても最適なチョークは変わります。
これらを環境や自分のコンディションに合わせて使い分け、時には混ぜ合わせることで、より適したフリクションを探していく。それを様々なシチュエーションに合わせて、配合割合として提案するのがMIXERアプリです。(MIXERアプリについては前回の記事をご参照ください)
また、BOOSTなどのPRE CHALK / FOUNDATIONといった下地アイテムもあります。こうした製品も、環境や個人の皮膚の状態に合わせて選ぶことで、チョークの性能をさらに引き出すことができます。
今回、それぞれの製品特性を整理する中で、性能の評価方法やパラメータについても改めて考え直しました。
例えば、瞬間的に発揮できる最大性能と、その性能を安定して維持できることは、必ずしも同じではありません。また、特定の環境で非常に高い性能を発揮する製品もあれば、幅広い環境に対応できる製品もあります。
単純にどのチョークが優れているかではなく、それぞれがどのような特性を持ち、どのような状況で力を発揮するのか。
そうした違いを、できるだけ共通した指標で比較できるようにしたものが、今回のCHALK GUIDEです。
正解ではなく、ひとつの手がかりとして
今回公開した評価や使い方は、あくまで私たちが考えるひとつの指標です。
MIXERアプリが提案する配合も同じです。それが唯一の正解というわけではありません。
むしろ、それを出発点にして、自分なりに配合を変えてみたり、違う使い方を試してみたりしてもらえたら嬉しいです。
チョークは、ただ選び、ただつけるだけのものではなく、使い方によっても変わるものです。
保管方法、手の状態の観察、手への付け方、チョークアップのタイミング、ただ使うだけでもフリクションが変わるパラメータはいくつも存在します。
CHALK GUIDE、少し専門的な内容も含まれますが、フリクションを探究する方には、きっと何か新しい発見があると思います。
みなさまの手や身体の状態、そして狙っているプロジェクトの環境に合わせて、製品を選ぶ際の参考にしていただけましたら光栄です。