「爪が割れやすいんですよ」「僕、筋肉が付きにくいタイプなので...」「指皮が裂けると治るまで時間かかるんですよね」「ムーブはできるようになるけど、強くなっている実感がない...」こんな会話を聞いたことがあったり、ご自身の経験で思い当たる節があると思います。多くの場合、これらはタンパク質が不足している兆候です。
ご存じのとおり、クライミングは無酸素で最大筋力を発揮するムーブを連続で行う、強度が非常に高い運動です。日常的な運動をしない人でも1日体重x1g、高強度の運動を日常的に行うクライマーのような人の場合は1日体重x2gほど(※年齢・性別による)のタンパク質が必要と言われています。体重の増加を気にするクライマーにおいては、まず足りていないでしょう。足りない結果、前述のような兆候が出てきます。
中でも最も重要なポイントは「筋肉が付きにくい」という症状で、クライミング中に使っている筋肉が、力を出すために消費する量のタンパク質を蓄えていないため、他の筋肉を分解してタンパク質として消費する現象に強く起因しています。このため、筋肉が付かないどころか減少しているのです。強くなりたくてハードなトレーニングをしているのに、実はムーブに慣れているだけで、体の筋肉量は減少し、疲労は溜まり、筋力は弱くなっている可能性があるのです。
逆に、十分なタンパク質を摂取できていた場合、使用した筋肉は正常に回復し、成長し、筋力が高まります。これは非常に大きな差になります。私は15年以上、このような非常にもったいないトレーニングをしてきました。そして、未だ多くのクライマーが同じようなトレーニングを繰り返しています。
プロテインやバー、タンパク質が多く含まれている食品などをうまく利用して、ちょっとずつタンパク質の摂取量を増やしてみませんか?それだけで、あなたのクライミングが見違えるほど変わるかもしれません。
(山本)